では、ごはんを食べてくれない時にはいったいどうしてあげるのが良いのでしょうか?
「ごはんを食べてくれないとき、どうする?」という飼い主さんの疑問に対し、
獣医師の先生が解説いたします。
☑️体調の確認
・こんなときは病院へ
☑️食事自体に工夫する
・匂いを変える
・食感、形、硬さを変える
・味を変える
☑️食器の変更
・食器の見直し項目
☑️食事場所の変更
・同居の子がいるときはどうする?
☑️遊びながら食べる
☑️美味しいおやつの量を適正量に
☑️実はしっかり食べられているかも?
☑️まとめ
まず初めに必ず行ってほしいのが、体調の確認です。人間もそうですが、急に食欲がなくなるときは体調が悪い場合があります。食欲がいつも通りじゃないなと感じたときは、次のことを注意してみてください。当てはまることがあったら、病院で診てもらいましょう。
【こんなときは病院へ】●いつもの半分以下しか食べない(全く食べない)●いつもより静か、ぐったりしている●食欲不振に加えて嘔吐や下痢があるとき、または水分も摂れない状態が続いている●体重が平常時の5%以上減った●食事をこぼすようになった●よだれが増えた
参照:根来沙弥(獣医ねこ先生)著「ツンツン猫をデレデレにする方法」
今までのごはんは喜んで食べていたのにごはんを変えて食べなくなったなど、食事環境に問題がなさそうな場合は、食事自体への工夫をしてみましょう。
💡 「匂い→食感→味」の順番に変える。
わんちゃん、ねこちゃんは、食事を味わう順番が人間と少し違います。彼らは私達と違い、嗅覚が優位な動物です。なのでその違いが食事の選び方にも出てきます。
【食事を味わう順番】以下の順番で食べるものを味わっています。1)匂いを嗅ぐ2)食感、形、硬さをチェック3)味を感じる
私達は、まず目で見て「美味しそうー!」と感じますが、だいぶ違いますよね。食事に工夫を加える時も、この点を考慮して工夫を加えていきます。
具体的な方法をお話します。食べないときは、先程の食事を味わう順番から先に対策していきます。
1)匂いを変えるまず匂いを変えてみましょう。食事を温める事で香りが立ちます。フードをそのまま電子レンジでチン!(ただし10秒くらい)これだけでOKです。あげる前に熱くなってないか、実際に触って確認を必ずしましょう。(熱すぎるものを食べてびっくりすると、そのフードが苦手になってしまうことがあります)
2)食感、形、硬さをチェック食べる時の様子を観察してみましょう。なかなかフードが口の中に入っていない様子などはないでしょうか。
【食感を変える方法】●ドライフードを砕いたり、種類を変えて、粒(キブル)のサイズを変える●ウエットフードをスプーン等で潰す、種類を変えて食感を変える●ドライフードとウエットフードを混ぜる粒がその子にとって大きかったり、逆に小さかったりして食べづらいと、食いつきが悪くなることがあります。歯や口腔内の状態が悪い子(歯周病や歯肉炎など)や、噛むときに痛みがある子は、硬いフードを噛みにくかったり、途中で落としてしまうことがあります。そんなときは、粒を小さくしたりウエットフードを混ぜたりなど、食感や形を変える工夫が効果的です。
3)味を変える1),2)の対策をしても食べない場合、味を変えてみましょう。具体的にはフード自体を変更します。チキンが好きでない子は、牛、魚にしたり、メインのタンパク質を変えると味がガラッと変わります。好みの味を見つけてあげれるといいですね!
食器が食べづらいことで、食べ飽きが生じていることは結構あります。食器の材質、食器の大きさ、深さ、傾きを工夫してみましょう。
上手に口の中にフードが運べないと、食事への気持ちが減ってしまうことがあります。実際に食器の見直しで食べるようになる子は多いので、私は食器の見直しを重要視しています。
●材質:陶器を好みます。●大きさ:小さい器はおヒゲが当たり、食べづらく感じることがあります(特に猫さん)。思い切って人用のものを使うなど大きなものを使ってみましょう。一気に食べるようになる子も多いです!●深さ:深すぎる器はおヒゲが当たりやすいです。●傾き:お皿の向きに角度がついていると、フードがお皿の中で1箇所に溜まるので、食べやすく感じる子が多いです。●高さ:お皿の高さがある方が食べやすく感じることがあります。特に体が大きい子は高さを足してあげるとよいでしょう。
年齢を重ねると、腰や首に負担がかかりやすくなります。食器の高さを少し上げると首を下げる角度が減り、食べやすくなる子も多いです。立ち上がりや姿勢に不安がある子は、高さを調整した食器を試してみてください。
食事の場所はとても大切です。静かで落ち着ける場所、そしてトイレ、寝る場所から離れている場所に設置してあげましょう。
人間も騒がしい場所では落ち着いて食事は取りづらいですし、レストランでトイレに近い席はなるべく避けたいですよね。わんちゃん、ねこちゃんも同じです。
また落ち着けるかどうかという点では、同居わんちゃん、ねこちゃんを気にして食べるのをやめていないかを確認しましょう。同居の子が近くでいると食べづらい子は意外と多いです。(我が家もそうです)
同居さんを気にしている場合は、以下のことを試してみましょう。●それぞれの場所を離す、別のお部屋で与える●間に目隠しを置く●食事時間を分ける
「動物は食事を労せず得るよりも、なんらかの対価を払って得ることを好む」ということが分かっています。(コントラフリーローディング効果)(ただしこれは猫さんは当てはまりません…!!)
私達も、苦労せずに獲得した10万円より、試行錯誤をし、苦労をして獲得した10万円とでは、頑張ってもらえた10万円のほうが達成感がありますよね。(10万円をもらえるなら、どんな状況でも嬉しいですが♡笑)
お家で再現できる「対価」というと、「遊び」「知育トイ」です。具体的にはフード自体を投げたり、トレーニングをしながらご飯におやつ的に食べてもらいます。実際その方法で、食事が増える子がいます♪ドライフードを使って、遊びながら食事を楽しんでみましょう!
知育トイは、おやつを使って遊びながら脳を刺激するおもちゃです。
最初は難易度の低いものから試してみましょう!ポイントはやり方を人間側が教えてあげることです。得意な子はどんどん難しい知育トイができるようになりますよ!
私調べでは、現代のわんちゃんねこちゃんは、日常的に美味しいおやつをたくさん食べています。(羨ましい!)美味しいものが日々たくさん出てくると、「ごはんよりおやつ食べよっと」となっている子もいます。
おやつ自体は、1日の総摂取カロリーの10%以内に収めましょう。また美味しいおやつは、とっておきのときのご褒美に取っておくのがおすすめです。
私達も、毎日食べるサーロインステーキより、たまに食べるサーロインステーキのほうが美味しいはず♪
今の食事量で、体重が適正であれば、それはカロリーが足りているということ。メーカーさんが推奨する摂取量はあくまでも目安なので、必ずその量を全部食べないといけないわけではありません。
カロリー計算が難しい、または適正体重がわからない場合は、かかりつけの獣医師の先生に聞いてみましょう!
いかがでしたでしょうか。 食べない原因はたくさんあります。私も日頃食べない問題を抱えている動物さんのご相談をよく受けますが、解決できる方法は多岐にわたるので、ワンちゃんネコちゃんは個性が豊かだなと感じます。
まずは動物さんの食べているときの姿を観察してみましょう!「フードが口になかなか入ってないじゃん」など、新たな発見ができるかもしれません。たくさん食べる必要があるのかまで含めて、対策を考えてみましょう。
また動物病院で先生、愛玩動物看護師さんに相談するのもおすすめです。先生たちは日頃、体調不良で食欲がない子にご飯を食べてもらっているので、色んな秘策を持っていますよ。
私のInstagramでも食べない問題の対策をお話しています。良かったら見に来てください。